このたび、田中前会長の後を受け、関西化学工業協会(以下「関化協」)の第26代会長を務めさせていただくことになりました、日本触媒の野田です。日頃より関化協の活動につきまして格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、今年度のわが国の化学業界を取り巻く環境ですが、欧米の金融政策の引き締めの影響を受けた急激な円安、世界で頻発する物流の混乱による輸送費用や各種原燃料の高騰に加えて、とりわけ国内の輸送業界における2024年問題に伴う輸送費の高騰や人材不足が及ぼす実態経済への影響が懸念されるところです。更には、団塊の世代が後期高齢者となり、労働人口が大きく減少するいわゆる2025年問題も進行中であり、我が国における人材不足の影響は、深刻度を増すばかりです。また、関西圏におきましては、来年の大阪・関西万博の開催に向けて今年は追い込みの年であり、あらゆる業界が知恵を絞り、万博成功による社会の活性化に向けて、経済面から盛り上げていくことが期待されています。
そのような環境の下で、化学業界においても、人材不足への対応が喫緊の課題であると認識しております。従来の延長線による効率化だけに留まらず、デジタル・トランスフォーメーションに代表される新たな変革により、生産効率を不連続的に上げることはもとより、重要なことは、人材の育成と活用であると考えております。関化協におきましても、「事業は人なり」というものづくりの原点に立ち返り、会員各社様の人材育成への支援活動を推進していきたいと考えております。具体的には、日本化学工業協会をはじめ関係諸団体、官公庁との密接な交流を進めて、関化協の講演会やセミナー等の企画、運営において、温室効果ガス対策をはじめとする様々な環境問題への対応や日本の先端技術を支える技術開発に資するテーマを適時に取上げられるよう努力してまいります。さらに、化学業界で必須となる安全や品質等に関する専門人材の育成の一助とすべく、会員相互の情報交流や啓発のための取り組みにも注力してまいります。
先に述べた通り、依然として今年度の化学産業を取り巻く環境は不透明ではございますが、加藤副会長(積水化学工業社長)はじめ、出井監事(テイカ社長)、菊地監事(タキロンシーアイ取締役常務執行役員)と力を合わせて関化協の運営を行い、関西の化学工業のために、誠心誠意取り組んでまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。以上、簡単ではございますが、就任の挨拶とさせていただきます。
2024年5月
関西化学工業協会
会長 野田 和宏